残しておきたい雑談がある

リニューアルしたなぽりんブログ。(日常報告よりちょっとまとまったネタ)

色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年を読んだ

ゲーム疲れで固い床でうたたねしたらそこに本があったから(と供述しており)なぽりんです。
 
速読なので2~3時間で読める。とてもよみやすかった。構造としてはノルウェイと似ているけれどずっと受け入れやすいと思った。
作風というか、同じ雰囲気の世界をかきつづけているとおもう。モチーフは北欧の自然、音楽、お金持ちで見た目もよく体力もある男の抱える虚無。ヘテロセクシャルな衝動、薄幸美女をしつこく襲う悪運。前半にはさまってくる、よく理解できないかしこすぎる男友達の挿話(ここだけみると相当BLっぽくもあってその意味でも今なら楽しめた)。※内面の成長を意味しているとはおもいます。どなたか灰田君側の話を想像してたら教えてほしい
毎回だが、終わり方はあれ(急に新聞記事みたいだ)でよいのかなあと思う。もちろん、ないよりはよいけれど。
終わり近くまで、モチーフをつなぐ前段とか前フリにあたる部分、現代日本によくいる男性の青春から成熟の内部を旅するという意味では興味深いというか、結構ここちよい体験ができた。北欧はいったことがない自分だが、なじんだ名古屋と東京が舞台であるのも自分にはおもしろかった。
 
こういう毎度似たテーマをたたみかける人としてはFFのプロデューサーの野崎?さんと、榎田ゆうりさんのBL小説にでてくる漫画家の豪徳寺薫子先生(ルコちゃんせんせい)(榎田さん自身はそういうタイプとは少し違うと思う)、あとそのルコちゃんせんせいのモデルを探してなんとなくたどりついた市川春子さんか(市川さん自身も絵は同じでも描く設定は毎回相当ちがっているのでここで挙げるには不適切か)。だいたい個人ならば、いやよくできたチームだって結末は似るか。
 
あいかわらず文体には形容詞、特に擬態語擬声語がとても少ない。ヘミングウェイか。1~2か所だけ擬声語のようなものがあって逆におどろいた。ヘミングウェイも1~2か所くらいはだったかも。
これだと翻訳はしやすいだろうなと思う(ご本人が英文で書くのは翻訳とはいわないか) 
 
そしてこの文体が英文にしやすいから売れているからといってノーベル賞候補だといって毎年押しかけるのは小説業界をバカにしているのでやめてあげてほしいとおもった。
たとえば、同じ系統の私小説風ストーリーしか書いていない漫画家さんが、たまたまアメコミ風の絵だったからコミコン優勝とれよだなんてけしかけているような失礼な話かもと想像した。