残しておきたい雑談がある

リニューアルしたなぽりんブログ。(日常報告よりちょっとまとまったネタ)

ポーズの定理をよんだ。

有名な画法書のポーズの定理をよんだ。というか挿絵がいっぱいあるから見たといってもいい。
美術解剖書とアニメ技法書の真ん中くらいにある本。両方のいいとこどりともいう
「人間のいきいきしたポーズをかきたい」という、言葉にするとありきたりの本だ。
著者は自分で鏡の前でポーズをとったりスポーツビデオを解析してつくったのでかなり納得度がたかい。
だが内容を読んで数か月たった。忘れてメモをすてる前に自分なりにまとめた。
<注意>以下の用語は、原書の用語に全く沿っていない。なぽりんの思い付きメモです。
原書の著者さんに「ここはどういう意味か」などとといあわせたり失礼な行動をしないように気を付けてください。

<A~Cの型>

A~Cは人間が立ち動作をするときに胴体(トルソー)がどうなるかを知るための型分類。
アニメなどではいちいち下半身を描写しないでも腰や胴のうごきで足の踏み出し動作を正確に示唆できないといけないために分類されたのではないだろうか。
以下で、「重心足」とは、床に体重をかけつつ反力をうけている足のことをいう。ぐにゃぐにゃの触手のようなものは重心足とはよべない。

A コントラポストの型

 反り身傾向 「重心足(=腰がすこし上がる足)と逆の肩があがる」(次の動作につなげながら重心を安定位置に復帰するため。BCでもおなじ理由で)重心と逆のわき腹が伸びて支える

B ナンバ歩きの型

 猫背傾向 「重心足(=腰がすこし上がる足)と同じ側の肩があがる」重心のわき腹が伸びて支える。
通常の歩行を型で描写すると(A左)(B右)(A右)(B左)(A左)…みたいなくりかえしだとおもう(もっと詳細にみるとNやDも一瞬混じる)。

C ハイキックの型

 猫背傾向 「重心足のつけねよりキック足のつけねが高く上がるポーズ」「腰位置が高い脚と逆側の肩があがるからAとまちがえやすい」「わき腹をみるとやはりBのバリエーションとわかる(着地足と肩がおなじがわにあるから)」
ハイキックというほど高くなくていいが、目安としてはかかとが膝くらいまであがったらCかなぁ
AやBからつきとばされて重心がくずれておっとっと!となってるときにも、戻る途中でCのハイキック型が出現する。(文章で表現すると、重心としてはとっさに片足を高く上げてテコの原理にあわせることで玩具のヤジロベエのように倒れないようにしようとする…だが。)やはり絵については本にある絵で見たほうが理解が早い。
A~Cについてそれぞれ、本の中では細かい表記の工夫があり分類付与訓練すると上達が早そうだ。

<Nの型(ノー型、無型)>

A~Cのどれにもあてはまらない無型。猫背だけど違う足があがっててでもハイキックじゃないよとか。反身だけど同じ足があがってますよとか。(ほかにDもある)
あてはまらない理由:座り姿勢や寝ころび姿勢、宙を飛んでいる最中など、重心が片足で規定される必要がないから(いうまでもないが、「座り、寝ころび」では尻だけでなく肘や頭が接地することができる)。
あるいは、意識がないとか自動車に衝突されたとか強い遠心力がかかっているとかで、不安定状態からどうやっても復帰できない事情があるポーズだから。
例外は「足を組む座り」。尻の片方だけに重心がくる場合はBかCのうち、どちらかというとCにあてはまることが多い。

<頭の位置にも注意> (少し訂正した)

尻と肘の距離が近いほうに背骨が倒れ、かつ後頭部が少し寄っていくルール。
理由:人間は前頭部や顔よりも後頭部がおもたいから…とか乳突筋…とかなんかいろいろあるっぽいがなぽりんは自分を鏡でよく観察しないせいかすこし懐疑的である。
逆にものすごく片手の肘が尻からとおい状態にしつつ顔も正面とかに固定しなきゃいけないときは残った手をだらんと下げているほうが肩がダルくてつらいので自然と両手を似た高さにあげたくなる(頭をかいたり耳をさわったり)、らしい。
これはまぁはたらきがかなり遅い(バタバタと手をうごかして試してみたが、おそらく10秒以上かかるとおもう)ので自分で意識してないかも。(女性のほうが重いハンドバッグを肘にかけて長時間持てるという科学論文をおもいだした)
自分で体をうごかしてみると両手万歳してるほうが片手万歳よりなんかすっきりする的なことかなとおもった。

<コケさせるために>

上にでたルール4つをくずす(N型+アルファの工夫)

1:高いほうの肩に後頭部が少し寄るルール
2:股関節は軸足側が高くなるルール
3:腰椎のひねりはABCどれかで肩を従わせて安定をもとめるルール
4:腕は腰椎の安定をたすけるためにうごくルール(肘と尻の距離のルール)

描き手が慣れてしまうと逆に不自然なポーズをかきにくくなるものだが、
上の4つのルールを全部崩してやるとうまく「明白にコケてるゾ」とわかるポーズがかけるのだ!

<Dの型>

・気を付けの姿勢や正眼の構えなどで両足に均等な重心がかかっており肩・腰のたかさが全く同じ高さである。ラジオ体操の前・後ろ・真横に体をたおすのもD。正眼はおそらくNDの型(型がない)である。アニメ的にはつまらないポーズであるが人体描写の習得はまずここからだ。

<安定度比較>

↑一番不安定
N (こけたり無型)
C (片足ハイキック型)
B (片足ナンバ型)
A (片足コントラポスト型)
D (両足正眼の構え・ラジオ体操)
↓一番安定(だが絵としてつまらない型)

A←→Bは足をふみかえるだけなのですぐにいれかわる。首・腕肩は足ほどすばやく上下しない。おくれてついてくる。
Cでは足がものすごく高くあげられる人は競技者であったりして肩はどちらでもあげられる(じっとしてるのは無理だろうが。足も肩も完全にコントロールしており意思にしたがう)。

<その他>

・パース箱にいれると上半身と下半身のパースがちがっててフィギュアがつくれない絵がある
・頭部の利用
・二つの関節
・「く」の字の肘や胴をななめからみるとたまに直線が出現する
・口のあけさせかた
・カメラ奥の肩をあげさせる(望遠?)
 …などこまかな技法があった はい私には理解するのむりです

<おまけ>

A~Cなどいろんな型にそったかっこいいトルソーの図がいっぱいあるぞ。模写したらすごく上手になれそう。ここのおまけだけでも買う理由になるとプロアニメーターさんがツイートしていた。
ちなみに自分は電子書籍でかった(重いから)が、もう一冊を紙で買って裁断して(しないとぶあついから開きっぱなしにならない)、手元において好きなトルソーを見ながら描くのもたのしそうだとおもった。
が、今メルカリでも原価と大差ない値段だったりプレミア値で売られているので古書で出回るのは先なのかもしれない。二冊目はやめとこうとおもった。
増刷間近かもね。